株式会社日立ソリューションズ

厳格なセキュリティ基準、調達基準をクリアした品質が安定運用を可能に「働き方改革」に向けた環境づくりに欠かせない無線LAN環境を整備

日立グループにおける情報・通信システム事業の中核を担う株式会社日立ソリューションズでは、2017年度から全社を挙げて取り組んでいる「働き方改革」に向けた環境整備を行うべく、部分的な導入だった無線LANを、執務室も含めた建屋すべてに拡張している。厳しい調達基準をクリアしたArubaの無線LANソリューションが、同社のネットワーク基盤として有効に機能している状況だ。

「働き方改革」に向けた環境整備を計画

600名ほどが入る講堂にも無線LANを展開しています。この講堂や、広い会議室が集中するフロアなどでも快適に無線LANが利用出来ています。

 2010年に株式会社日立システムアンドサービスと日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社が合併し、新たに誕生した株式会社日立ソリューションズ。「未来の扉をひらく。ゆるぎないチカラとともに。」を経営ビジョンに掲げ、日立グループの情報・通信システム事業の中核を担うIT企業として多くの顧客にソリューションを提供している。ITガバナンスやシステム開発・運用、セキュリティ、クラウド、人材・知財戦略などジャンルごとに豊富なソリューションを揃えており、「働き方改革」による長時間労働の削減やRPAによる省力化など顧客の課題に応えるための最新ソリューションへの積極的な取り組みも行っている状況だ。

 そんな同社では、事業としてフォーカスしているジャンルの一つである「働き方改革」に向けて、テレワーク向け就業管理や仮想デスクトップ、業務自動化、長時間労働是正など豊富なソリューションを展開しているが、その特徴は自社内でシステムを導入したうえで知見を獲得し、最適なソリューションとして顧客に提供していることだ。「『働き方改革』については社内で2016年ごろから取り組んでおり、働く時間や場所にとらわれない柔軟な働き方をめざす“タイム&ロケーションフリーワーク”が取り組みの一つになっています」とIT・情報セキュリティ本部 基盤サービス部 ITサービスグループ グループマネージャ 福山 直美氏は説明する。

厳しい調達基準をクリア、ARMなど自動調整機能を評価

 この柔軟な働き方を実現するための環境づくりの一環としてまず取り組んだのが、従来は会議室フロアなど限定されたエリアのみ展開していた無線環境を、執務エリアを含めた本社棟のすべてのエリアに拡張することだった。「いつでもどこでも自由にネットワークにアクセスできるインフラとして、まずはオフィス全域に無線LAN環境を整備しようと考えました」と福山氏。
 
 同社に必要だった環境は、数多くのアクセスポイント(以下、AP)を配置することになるため、冗長化されたモビリティ・コントローラーにて統合管理できること、SSIDごとに通信制限などファイアウォールポリシーをきちんと設定することでセキュアな環境が維持できること、そしてオフィスから会議室などエリアを移動した場合でも不便なく使い勝手を落とさずにネットワーク接続できる環境だった。「今の本社の立地環境では、周辺にホテルなどが立ち並んでおり、外来波が多く検知されているのが実態です。そんな環境でも快適に使えるよう自動調整してくれるような機能も求められていました」と福山氏は語る。
 
 それらの要件を踏まえて検討した結果、Arubaが提供する無線LANソリューションが選択された。「日立ソリューションズの厳しいセキュリティ基準、調達基準にも適合した無線LAN製品であり、ネットワーク製品部門でも取り扱っているソリューションの一つです。集中管理の仕組みはもちろん、途切れなく快適なネットワークアクセスが可能になることは承知しており、我々が必要としていた要件にも合致しました」と福山氏。特に電波環境が悪化しても通信を維持し続けようとする引っ張り現象、いわゆるスティッキー端末への対策についても、ArubaであればAP同士で情報をやり取りし、無線クライアントを最適なAPに誘導することが可能な仕組みが備わっている。「外来波の影響についても、ARM機能によって最適なチャネルに自動調整してくれるため、管理側で詳細に調整せずとも快適な通信環境を維持することが可能です」と福山氏は評価する。
 
 結果として、同社の執務エリア含めた全域をカバーするネットワークアクセスの手段として、Arubaの無線LANソリューションが採用されることになる。

「働き方改革」に貢献する安定した無線基盤を整備

 現状は、本社となる日立ソリューションズタワーA棟およびB棟双方にトータルで300台を超えるAPを各フロアに展開しており、それらを冗長化されたモビリティ・コントローラーにて管理、セキュアなアクセスを実現している。PCで行う日常業務についてはすべて無線LANを経由して行われており、日々2000ほどのデバイスがアクセスしている。Office 365によるWeb会議やシトリックスを利用したシンクライアント環境など、さまざまなアプリケーションを無線LAN経由で活用しているが、大きなトラブルもなく安定した稼働を続けている。
 
 また「働き方改革」を社内で実践すべく、同社では新たに食堂スペースのアイドルタイムにミーティングなどに活用できるよう、ディスプレイやコンセントを設置、無線LANによるネットワークへの接続を可能にしている。さらに集中ブースと呼ばれるエリアを新たに設置し、作業に没頭できる環境を設けているが、ここでは無線LANのみがネットワーク接続の手段となっている。「働き方改革」へ着手したことで残業時間の減少や有給休暇取得率の向上など、目に見える効果が表れてきているが、柔軟なネットワークアクセスが可能な基盤づくりもこの効果を生んだ一助となっている。

 無線LANを整備したことで、従来打ち合わせスペースにあったLANケーブルのメンテナンスやレイアウト変更時に必要なLANの敷設などの手間が削減され、インフラ管理の面でも効果が表れていると福山氏は言及する。「これまでと比べておよそ8倍のAPが展開されていますが、人員も増えることなく管理的な負担も増えていません」と評価する。すでに導入後1年半あまりが経過しているが、初期不良であるDOAの報告は一度もなく、実際に機器を交換したのはわずか2度ほどだという。「300台を超える数が稼働していながらその程度の故障しか発生していません。製品そのものが安定しており、かなり優秀だと考えています」と福山氏は評価する。

 現在は同社のネットワーク製品部門でもArubaを取り扱っていることから、販売支援体制が社内的にも整備されている。Aruba製品導入に際しては、同部門が顧客に対して情報提供や各種問合せ対応を行うことになるが、Arubaでは、同部門のエンジニアを対象に無線技術の習得に役立つスクール等を活発に開催しており、Arubaのサポート体制に対する同部門エンジニアからの評価も高い。なお、海外アライアンス製品をインテグレートせずに代理店販売形式で提供する場合、日立グループ全体としての調達基準はもちろん、同社の厳格な基準にクリアしたものしか、取り扱わない状況にある。そのため、同社の品質保証部門が製品主管事業部と協同して独自のハードウェア、ソフトウェアを対象とした品質テストが行われており、品質的にも満足のいく製品として社内展開が図られている状況にあるという。

今後も先進的な環境づくりを意識

 現在は、本社の執務エリア全体を無線LANアクセス可能な環境へ拡張させることに成功しており、十分な数のAPが設置されている状況にある。ただし、以前導入していた古いAPも存在しており、切り替えのタイミングで改めてArubaの新たな機種を展開していく計画だ。「すでにIEEE802.11axなど新たな無線規格の話題もあります。今後も無線の高速化が進んでいくことになるため、刷新のタイミングではその時点の先進的な環境を自社内で整備し、お客さまに提供できるよう知見をためていけるような環境を今後も整備していきます」と福山氏に今後について語っていただいた。