ミツカングループ

閉域網を増強せずに帯域を確保、通信可視化や環境変化へ適用力を強化
インターネットブレイクアウトを可能にするSD-WANソリューション 「Aruba EdgeConnect」

  • お客様プロフィール

    約220年の歴史を持つ大手食品メーカーであり、株式会社Mizkanをグループの事業会社に持つ。海外にも活動の場を広げ、日本+アジア、北米、欧州の3エリアで事業をグローバルに展開している。「買う身になって まごころこめて よい品を」「脚下照顧に基づく現状否認の実行」を企業理念に掲げ、変革と挑戦を続けている。
    • 業種・業態: 食品製造業
    • ロケーション: 愛知県
    • 導入規模: 16拠点

    ユースケース

    閉域網を増強せずに帯域を確保、通信可視化や環境変化へ適用力を強化
    インターネットブレイクアウトを可能にするSD-WANソリューション「Aruba EdgeConnect」

    課題

    • Microsoft 365の利用率が急増し、ネットワークを圧迫
    • 閉域網の増強では一般的なインターネット回線と比べて高額かつ長期間かかる
    • 将来的なSaaS利用の拡大にも柔軟に対応できる環境が必要

    ソリューション

    効果

    • 特許技術の正確なインターネットブレークアウトを使い、コスト削減を実現しながらネットワークのボトルネックを大幅に改善
    • Microsoft Teamsの利用環境を大幅に改善、画質や音質の向上に貢献
    • 短期間·最小限のコストで今後の変化に柔軟かつ継続的に対応できるWAN環境の整備を実現

    創業200年以上の歴史を誇り、変革と挑戦を続けているミツカングループでは、グループ一丸となって事業を推進するべく業務基盤としてMicrosoft 365を導入しているが、新型コロナウイルス感染症の影響で利用頻度が急増し、ネットワーク帯域がひっ迫。SaaSを含めたクラウド利用が加速するなか、拠点からのインターネットブレイクアウトによって快適なネットワーク環境へ刷新するべく、SD-WANを導入。そこでArubaが提供するSD-WANソリューション「Aruba EdgeConnect」が採用されている。

    Microsoft Teamsでの会議が急増、ネットワーク帯域がひっ迫する事態に

    1804年に酒粕を原料に発酵という自然の力を活かしたお酢づくりから始まり、現在は食酢やぽん酢、鍋用調味料、納豆など家庭で食されているさまざまな商品を提供することで日本の食文化創造に大きく貢献しているミツカングループ。「やがて、いのちに変わるもの。」というグループビジョンスローガンを掲げ、変革と挑戦を積み重ねることで、日本のみならずアジア、北米、欧州などグローバルに事業を展開している。また、2018年に発表した “未来ビジョン宣言”のなかで生まれた、野菜、豆、穀物などの素材を可能な限りまるごと使うことで、おいしさも栄養もまるごといただく「ZENB(ゼンブ)」ブランドを展開、SDGsにおける食品ロス問題に対するアプローチとして持続可能な社会実現に向けた活動にも積極的に取り組んでいる。

    そんな未来ビジョン宣言に向けてグループ一丸となって取り組むべく、2020年にはグループ全体でMicrosoft 365を導入。マネージメントの質向上や意思決定の迅速化を推進しており、SaaSを含めたクラウドサービスを上手に活用しながら、環境変化への柔軟な対応が可能なインフラづくりに取り組んできた。

    そんな新たな基盤づくりを推進してきた同社では、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークへの移行が急速に進み、ネットワーク回線のひっ迫によって業務への影響も懸念されていたという。「ネットワークのひっ迫で、Microsoft Teamsを使った会議に参加できないという問い合わせが寄せられる事態に。このままネットワークがひっ迫してしまうと、受注や出荷データが送れなくなってしまうなんてことにもなりかねず、早急に対策が必要 となったのです」と語るのは、情報システム部 部長 松下 美幸氏だ。

    使い勝手の高いSD-WANとして注目したAruba EdgeConnect

    早急な解決に向けて回線増強などを検討したものの、通信事業者が提供する閉域網を増強しようとすると回線コストが大きく上昇してしまうため、容易に決断することが難しい状況だった。「今後もクラウド利用が増えていくため、単なる回線増強ではなく抜本的なWANの見直しが必要だと考えたのです」と同部 課長 田平 浩樹氏は当時を振り返る。そこで注目したのが、SaaSの通信を拠点から直接インターネットにブレイクアウトできるSD-WANだった。「第三者機関の情報や海外の取り組みなどを調査するなかで、SD-WANが解決策の1つとして有効だと考えたのです」と田平氏。

    そこで複数のSD-WANソリューションを候補に挙げるなか、複数回線を束ねて利用できるボンディング機能や工場内のIoTに関連した通信だけを仮想的に制御するなど、用途に応じて複数のオーバーレイネットワークが整備できるなど、具体的な要件を挙げて比較を実施。そこで白羽の矢が立ったのが、使い勝手の高さが高く評価されたAruba EdgeConnectだった。「インターフェースが優れており、ネットワーク自体が可視化しやすい点をPoCのなかで高く評価したのです。検討したメンバーからは全会一致で使いやすいと評判でした」と同部 市原 裕也氏は説明する。

    完全な内製化でなくとも、変更のたびに外部に依頼しているようではスピード感ある対応は難しい。そのためには、CLIを駆使するよりも、できる限りシンプルな手順で設定できるものが理想的で、Aruba EdgeConnectには大きなアドバンテージがあったという。「情報自体は裏側で持っていながら、GUI上に明示されないソリューションも少なくありません。Aruba EdgeConnectではAruba Orchestratorを利用し、必要な情報がすぐに把握でき、自分たちでも設定変更が可能です。GUIのどこを触ればいいのか直感的に操作できるインターフェースは他社と大きな違いがあり、価値が高いソリューションだと判断しました」と市原氏は評価する。

    結果として、将来的なSaaS利用の増加にも柔軟に対応できるネットワーク環境の基盤として、Aruba EdgeConnectが採用されることになった。

    ネットワークのボトルネックを解消、コスト削減を実現

    当初はネットワーク帯域がひっ迫していた3つの拠点でパイロット導入し、その効果を確認しながら半年後には全国の大規模拠点へ展開。
    小規模拠点を除き、半田本社や支店、国内工場、AWS含めたデータセンタも含めて16拠点に対して、それぞれ冗長化したSD-WAN対応ルーターのEdgeConnectを設置。クラウド上にあるAruba Orchestratorにて、全てのEdgeConnectが制御可能だ。「通常であれば、閉域網へのアクセス回線の用意やルーターの設定など含めて稼働するまでに数か月から半年ほどは必要です。今回のSD-WAN環境では、インターネット回線の手配から既存ルーターの設定をEdgeConnectに移行するまでに、1拠点であれば1か月足らず。短期間のうちに安定した環境が整備できました」と同部 田島 憲氏は評価する。
     
    現時点では、Microsoft 365の通信のみをブレイクアウトしており、データセンタへのトラフィックを大幅に減らすことでネットワーク全体のパフォーマンス向上を実現。その結果、Microsoft Teamsへのアクセスがスムーズになり、画質や音質の劇的な改善に貢献している。「実は以前は音声を優先させるため、映像での顔出しを制限していました。今は自由に利用できるようになっています。ブレイクアウトすることの効果はWeb 会議系のソリューションだと非常に大きい」と市原氏。ある拠点で見ると、通信全体の4割ほどを占めるMicrosoft 365での通信を全てインターネットブレイクアウトできており、データセンタへの通信の多くをインターネット側にオフロードすることに成功している。

    今回SD-WANを導入したことで、受注業務や物流業務などデータのやり取りが不可欠な工場には特に大きな効果が生まれており、閉域網を増強せずに快適なネットワーク環境の整備に成功したことになる。「帯域だけでいえば、回線の増強でも解決できていたはずですが、費用や期間、そして将来性などを考慮すると、短期間のうちに最小限のコストで将来性のあるWAN環境が整備できたことが何より。今後使いたいSaaSが出てきても、柔軟に対応できるはず」と市原氏。

    回線コストについては、必要な帯域を回線増強で対応する場合に比べて圧倒的で、従来と同等のコストでインターネット回線へブレイクアウトしても大きな増額にはならないという。「必要な回線の帯域を素直に増強するとかなり費用が上がりますが、SD-WANであれば従来の費用と同等ながら回線スピードが確保できます。想定通り、そのコストを別の施策に回すことができました」と田平氏は語る。ただし、拠点からインターネットブレイクアウトした先での新たなセキュリティ対策が必要になるため、今後はSWG(Secure Web Gateway)のようなソリューションへのアクセスを通じて安全な環境を整備していく必要がある。回線コストを削減した分を、クラウドネイティブな環境づくりへの投資に割り当てることが可能になるという。

    当初期待していたネットワークの可視化についても新たな知見が得られるなど、恩恵を受けているという。「Microsoft 365が大きく影響していることは確かでしたが、実はファイルサーバにデータを取りに行く通信がネットワークへの影響が少なくないことも分かりました。アプリケーションが適切に識別できたからこそ知ることができたのです」と市原氏。
    また、モバイルを中心とした営業系や工場におけるIoTの取り組みなど、用途に応じて安定的なネットワークの増強は課題になってくると見ている。「オーバーレイによって混合したネッワークでも個別に制御できるなど、Aruba EdgeConnectの効果がもっと享受できると期待を寄せています」と市原氏は力説する。

    現時点でネットワークのひっ迫に関連した問い合わせはなくなっているものの、管理工数の削減に大きく貢献するのは今後だと見ている。「例えば拠点の移転などが発生した際は、閉域網の回線手配とは労力も大きく変わってくるはずです。また、新たに利用するSaaSの追加など環境が変化する際にも、容易にブレイクアウトの設定ができるなど、管理の負担を減らしながら変化への柔軟な対応が可能な基盤が整備できたと考えています」と田島氏。
    データ圧縮などの機能はまだ十分活用できていないが、例えばIoTに関連した設備保全のための3Dデータなど大きなファイルがやり取りされた場合に備えて、準備万端な環境が整備できた点も大きいという。

    セキュアな環境づくりを推進しながら、WAN・LAN融合に期待

    今後については、Microsoft 365の通信以外のSaaSについてもインターネットブレイクアウトしていくことで柔軟に回線を増強させていく方針だが、セキュリティの観点からインターネットに直接アクセスさせるわけにはいかないため、SWGのようなクラウド上のセキュリティとの連携も視野に検討を進めているという。「Aruba EdgeConnectとSWGとの連携などを行うことで、インターネットの通信は全てブレイクアウトに持っていきたいと考えています。まさにSASE(Secure Access Service Edge)のようなセキュアな環境づくりを意識しながら、新たな環境づくりを進めていきたい」と市原氏。

    また、今回は全てデータセンタ集約型から拠点から直接インターネットに接続できるWANトポロジへ刷新することに成功しているが、WANとともにLAN側の管理についても融合できる可能性を感じているという。「今回はSilver PeakがちょうどArubaに買収されるタイミングと重なりましたが、Arubaが持つ無線LANなどLAN側のソリューションについても検討の余地はあります。統合認証基盤であるAruba ClearPassとの連携など、総合力のあるHPEだからこそできることも多いはず」と田平氏は期待を寄せている。田島氏も「従来は個別に管理していたルーターもAruba Orchestratorにて一元管理できるため、自分たちで保守運用していける範囲が広がることを期待しています。また、Aruba EdgeConnectが持つDHCP機能なども活用していきながら、保守運用のさらなる軽減も進めていきたい」と今後について語っていただいた。

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    回線増強に頼らずとも変化への柔軟な対応が可能なソリューションとしてSD-WANに注目したのです。
    ミツカングループ、情報システム部、部長、松下 美幸氏
  • お客様プロフィール

    約220年の歴史を持つ大手食品メーカーであり、株式会社Mizkanをグループの事業会社に持つ。海外にも活動の場を広げ、日本+アジア、北米、欧州の3エリアで事業をグローバルに展開している。「買う身になって まごころこめて よい品を」「脚下照顧に基づく現状否認の実行」を企業理念に掲げ、変革と挑戦を続けている。
    • 業種・業態: 食品製造業
    • ロケーション: 愛知県
    • 導入規模: 16拠点

    ユースケース

    閉域網を増強せずに帯域を確保、通信可視化や環境変化へ適用力を強化
    インターネットブレイクアウトを可能にするSD-WANソリューション「Aruba EdgeConnect」

    課題

    • Microsoft 365の利用率が急増し、ネットワークを圧迫
    • 閉域網の増強では一般的なインターネット回線と比べて高額かつ長期間かかる
    • 将来的なSaaS利用の拡大にも柔軟に対応できる環境が必要

    ソリューション

    効果

    • 特許技術の正確なインターネットブレークアウトを使い、コスト削減を実現しながらネットワークのボトルネックを大幅に改善
    • Microsoft Teamsの利用環境を大幅に改善、画質や音質の向上に貢献
    • 短期間·最小限のコストで今後の変化に柔軟かつ継続的に対応できるWAN環境の整備を実現

    創業200年以上の歴史を誇り、変革と挑戦を続けているミツカングループでは、グループ一丸となって事業を推進するべく業務基盤としてMicrosoft 365を導入しているが、新型コロナウイルス感染症の影響で利用頻度が急増し、ネットワーク帯域がひっ迫。SaaSを含めたクラウド利用が加速するなか、拠点からのインターネットブレイクアウトによって快適なネットワーク環境へ刷新するべく、SD-WANを導入。そこでArubaが提供するSD-WANソリューション「Aruba EdgeConnect」が採用されている。

    Microsoft Teamsでの会議が急増、ネットワーク帯域がひっ迫する事態に

    1804年に酒粕を原料に発酵という自然の力を活かしたお酢づくりから始まり、現在は食酢やぽん酢、鍋用調味料、納豆など家庭で食されているさまざまな商品を提供することで日本の食文化創造に大きく貢献しているミツカングループ。「やがて、いのちに変わるもの。」というグループビジョンスローガンを掲げ、変革と挑戦を積み重ねることで、日本のみならずアジア、北米、欧州などグローバルに事業を展開している。また、2018年に発表した “未来ビジョン宣言”のなかで生まれた、野菜、豆、穀物などの素材を可能な限りまるごと使うことで、おいしさも栄養もまるごといただく「ZENB(ゼンブ)」ブランドを展開、SDGsにおける食品ロス問題に対するアプローチとして持続可能な社会実現に向けた活動にも積極的に取り組んでいる。

    そんな未来ビジョン宣言に向けてグループ一丸となって取り組むべく、2020年にはグループ全体でMicrosoft 365を導入。マネージメントの質向上や意思決定の迅速化を推進しており、SaaSを含めたクラウドサービスを上手に活用しながら、環境変化への柔軟な対応が可能なインフラづくりに取り組んできた。

    そんな新たな基盤づくりを推進してきた同社では、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークへの移行が急速に進み、ネットワーク回線のひっ迫によって業務への影響も懸念されていたという。「ネットワークのひっ迫で、Microsoft Teamsを使った会議に参加できないという問い合わせが寄せられる事態に。このままネットワークがひっ迫してしまうと、受注や出荷データが送れなくなってしまうなんてことにもなりかねず、早急に対策が必要 となったのです」と語るのは、情報システム部 部長 松下 美幸氏だ。

    使い勝手の高いSD-WANとして注目したAruba EdgeConnect

    早急な解決に向けて回線増強などを検討したものの、通信事業者が提供する閉域網を増強しようとすると回線コストが大きく上昇してしまうため、容易に決断することが難しい状況だった。「今後もクラウド利用が増えていくため、単なる回線増強ではなく抜本的なWANの見直しが必要だと考えたのです」と同部 課長 田平 浩樹氏は当時を振り返る。そこで注目したのが、SaaSの通信を拠点から直接インターネットにブレイクアウトできるSD-WANだった。「第三者機関の情報や海外の取り組みなどを調査するなかで、SD-WANが解決策の1つとして有効だと考えたのです」と田平氏。

    そこで複数のSD-WANソリューションを候補に挙げるなか、複数回線を束ねて利用できるボンディング機能や工場内のIoTに関連した通信だけを仮想的に制御するなど、用途に応じて複数のオーバーレイネットワークが整備できるなど、具体的な要件を挙げて比較を実施。そこで白羽の矢が立ったのが、使い勝手の高さが高く評価されたAruba EdgeConnectだった。「インターフェースが優れており、ネットワーク自体が可視化しやすい点をPoCのなかで高く評価したのです。検討したメンバーからは全会一致で使いやすいと評判でした」と同部 市原 裕也氏は説明する。

    完全な内製化でなくとも、変更のたびに外部に依頼しているようではスピード感ある対応は難しい。そのためには、CLIを駆使するよりも、できる限りシンプルな手順で設定できるものが理想的で、Aruba EdgeConnectには大きなアドバンテージがあったという。「情報自体は裏側で持っていながら、GUI上に明示されないソリューションも少なくありません。Aruba EdgeConnectではAruba Orchestratorを利用し、必要な情報がすぐに把握でき、自分たちでも設定変更が可能です。GUIのどこを触ればいいのか直感的に操作できるインターフェースは他社と大きな違いがあり、価値が高いソリューションだと判断しました」と市原氏は評価する。

    結果として、将来的なSaaS利用の増加にも柔軟に対応できるネットワーク環境の基盤として、Aruba EdgeConnectが採用されることになった。

    ネットワークのボトルネックを解消、コスト削減を実現

    当初はネットワーク帯域がひっ迫していた3つの拠点でパイロット導入し、その効果を確認しながら半年後には全国の大規模拠点へ展開。
    小規模拠点を除き、半田本社や支店、国内工場、AWS含めたデータセンタも含めて16拠点に対して、それぞれ冗長化したSD-WAN対応ルーターのEdgeConnectを設置。クラウド上にあるAruba Orchestratorにて、全てのEdgeConnectが制御可能だ。「通常であれば、閉域網へのアクセス回線の用意やルーターの設定など含めて稼働するまでに数か月から半年ほどは必要です。今回のSD-WAN環境では、インターネット回線の手配から既存ルーターの設定をEdgeConnectに移行するまでに、1拠点であれば1か月足らず。短期間のうちに安定した環境が整備できました」と同部 田島 憲氏は評価する。
     
    現時点では、Microsoft 365の通信のみをブレイクアウトしており、データセンタへのトラフィックを大幅に減らすことでネットワーク全体のパフォーマンス向上を実現。その結果、Microsoft Teamsへのアクセスがスムーズになり、画質や音質の劇的な改善に貢献している。「実は以前は音声を優先させるため、映像での顔出しを制限していました。今は自由に利用できるようになっています。ブレイクアウトすることの効果はWeb 会議系のソリューションだと非常に大きい」と市原氏。ある拠点で見ると、通信全体の4割ほどを占めるMicrosoft 365での通信を全てインターネットブレイクアウトできており、データセンタへの通信の多くをインターネット側にオフロードすることに成功している。

    今回SD-WANを導入したことで、受注業務や物流業務などデータのやり取りが不可欠な工場には特に大きな効果が生まれており、閉域網を増強せずに快適なネットワーク環境の整備に成功したことになる。「帯域だけでいえば、回線の増強でも解決できていたはずですが、費用や期間、そして将来性などを考慮すると、短期間のうちに最小限のコストで将来性のあるWAN環境が整備できたことが何より。今後使いたいSaaSが出てきても、柔軟に対応できるはず」と市原氏。

    回線コストについては、必要な帯域を回線増強で対応する場合に比べて圧倒的で、従来と同等のコストでインターネット回線へブレイクアウトしても大きな増額にはならないという。「必要な回線の帯域を素直に増強するとかなり費用が上がりますが、SD-WANであれば従来の費用と同等ながら回線スピードが確保できます。想定通り、そのコストを別の施策に回すことができました」と田平氏は語る。ただし、拠点からインターネットブレイクアウトした先での新たなセキュリティ対策が必要になるため、今後はSWG(Secure Web Gateway)のようなソリューションへのアクセスを通じて安全な環境を整備していく必要がある。回線コストを削減した分を、クラウドネイティブな環境づくりへの投資に割り当てることが可能になるという。

    当初期待していたネットワークの可視化についても新たな知見が得られるなど、恩恵を受けているという。「Microsoft 365が大きく影響していることは確かでしたが、実はファイルサーバにデータを取りに行く通信がネットワークへの影響が少なくないことも分かりました。アプリケーションが適切に識別できたからこそ知ることができたのです」と市原氏。
    また、モバイルを中心とした営業系や工場におけるIoTの取り組みなど、用途に応じて安定的なネットワークの増強は課題になってくると見ている。「オーバーレイによって混合したネッワークでも個別に制御できるなど、Aruba EdgeConnectの効果がもっと享受できると期待を寄せています」と市原氏は力説する。

    現時点でネットワークのひっ迫に関連した問い合わせはなくなっているものの、管理工数の削減に大きく貢献するのは今後だと見ている。「例えば拠点の移転などが発生した際は、閉域網の回線手配とは労力も大きく変わってくるはずです。また、新たに利用するSaaSの追加など環境が変化する際にも、容易にブレイクアウトの設定ができるなど、管理の負担を減らしながら変化への柔軟な対応が可能な基盤が整備できたと考えています」と田島氏。
    データ圧縮などの機能はまだ十分活用できていないが、例えばIoTに関連した設備保全のための3Dデータなど大きなファイルがやり取りされた場合に備えて、準備万端な環境が整備できた点も大きいという。

    セキュアな環境づくりを推進しながら、WAN・LAN融合に期待

    今後については、Microsoft 365の通信以外のSaaSについてもインターネットブレイクアウトしていくことで柔軟に回線を増強させていく方針だが、セキュリティの観点からインターネットに直接アクセスさせるわけにはいかないため、SWGのようなクラウド上のセキュリティとの連携も視野に検討を進めているという。「Aruba EdgeConnectとSWGとの連携などを行うことで、インターネットの通信は全てブレイクアウトに持っていきたいと考えています。まさにSASE(Secure Access Service Edge)のようなセキュアな環境づくりを意識しながら、新たな環境づくりを進めていきたい」と市原氏。

    また、今回は全てデータセンタ集約型から拠点から直接インターネットに接続できるWANトポロジへ刷新することに成功しているが、WANとともにLAN側の管理についても融合できる可能性を感じているという。「今回はSilver PeakがちょうどArubaに買収されるタイミングと重なりましたが、Arubaが持つ無線LANなどLAN側のソリューションについても検討の余地はあります。統合認証基盤であるAruba ClearPassとの連携など、総合力のあるHPEだからこそできることも多いはず」と田平氏は期待を寄せている。田島氏も「従来は個別に管理していたルーターもAruba Orchestratorにて一元管理できるため、自分たちで保守運用していける範囲が広がることを期待しています。また、Aruba EdgeConnectが持つDHCP機能なども活用していきながら、保守運用のさらなる軽減も進めていきたい」と今後について語っていただいた。

    回線増強に頼らずとも変化への柔軟な対応が可能なソリューションとしてSD-WANに注目したのです。
    ミツカングループ、情報システム部、部長、松下 美幸氏