学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校

「Zoom」「VR」「eスポーツ」も快適に動く
N/S高が「Wi-Fi」で400Mbpsの高速な学園ネットワークを実現できた理由

  • お客様プロフィール

    KADOKAWAグループは1945年の創業以来、出版や映像、Webサービスをはじめ多種多様なコンテンツを提供してきたエンターテインメント企業です。ポップカルチャーの発信拠点である「ところざわサクラタウン」の他、ドワンゴが運営する「N予備校」をはじめとした教育分野にも注力しています。
    • 業種・業態: 教育
    • ロケーション: 東京都
    • 導入規模: 150名以上

    ユースケース

    N/S高が「Wi-Fi」で400Mbpsの高速な学園ネットワークを実現できた理由

    課題

    • 大容量データ通信における遅延や通信速度低下の抑止
    • 教育の根幹であるキャンパスネットワークの可用性向上
    • 複雑になりがちなネットワーク運用管理の簡素化

    効果

    • 実測値400Mbps以上の高速で途切れにくい無線LAN通信を実現
    • 無線LANの速度と可用性を高めつつもコストを最大限抑制
    • ログ収集やチューニングによってトラブル発生を抑止するとともに、運用の効率化を実現

    KADOKAWAとドワンゴが創立した通信制高等学校のN高等学校(本校:沖縄県うるま市、以下N高)とS高等学校(本校:茨城県つくば市、以下S高)は「ネットの高校」として、Web会議アプリケーションやグラフィック編集アプリケーションを積極的に利用している。N高およびS高(以下、N/S高)では、エンドユーザーである生徒が通信データ量の多いアプリケーションをキャンパスで使うことで、ネットワークが"重く" なりがちだった。両校はこうした悩みを解決するため、秋葉原キャンパス(東京都千代田区)に高速通信を実現する無線LAN 設備を導入した。

    "ネットの高校"のネットワークにはスピードと可用性が求められる

    N/S高は、学校法人角川ドワンゴ学園が運営する「ネットの高校」として、通信制高校の制度とインターネットを活用した教育を推進している。同学園は両校の生徒が通学して学ぶための拠点として、複数のキャンパスを国内各地に設置している。そのキャンパスの一つが、東京・秋葉原の電気街にある秋葉原キャンパスだ。  

    秋葉原キャンパスのネットワーク設計と構築は、KADOKAWA Connectedが担当した。同社はKADOKAWAグループでITインフラや情報システムの設計と構築、運用管理を担当している機能子会社だ。「当社のエンジニアの多くは、ドワンゴで『ニコニコ動画』などのIT基盤を担当していました」と、同社の東松裕道氏(Infra Architect部部長)は説明する。秋葉原キャンパスの無線LANの設計や構築は、同社の横山弘和氏(Infra Architect部)が主導した。

    N/S高が各キャンパスのネットワークに最大限のスピードと可用性を求めているのは、両校の運営がインターネット接続を前提にしているためだ。N/S高は、授業や学習、生徒と職員間のコミュニケーションに加え、定期テストもオンラインで実施する。そのためネットワークが止まったり通信速度が低下したりすると、業務や教育に大きな支障が出る。「高校といっても、N/S高のネットワークには製造業のものと同等か、それ以上のスピードと可用性が欠かせません」(東松氏)

    特にN/S高のネットワークに負荷をかけるのは、Web会議サービスの「Zoom」だ。その利用実態について、東松氏は次のように語る。「Web会議は、映像と音声のどちらかが乱れるとユーザーのストレスが高まります。N/S高の場合、授業で生徒全員がWeb会議サービスを使うので、端末ごとに十分な帯域を用意する必要がありました」

    VR(仮想現実)やeスポーツ用のアプリケーション、Adobeのグラフィック編集サービス「Adobe Creative Cloud」(Adobe CC)など、オンライン授業や生徒の交流に利用するアプリケーションも、大量のデータ転送が発生する。多人数のエンドユーザーが同時に使用するとネットワーク通信の速度低下が発生する懸念があった。

    10Gbpsのダークファイバーを契約、設計ではスピードと可用性を重視

    秋葉原キャンパスのネットワーク設計の際、KADOKAWA Connectedはネットワークの構成要素を「インターネット回線」と「エッジ」(秋葉原キャンパス内ネットワーク)に分け、両方を入念に検討することにした。その結果インターネット回線は、通信事業者の広域イーサネットなどのWANサービスではなく、ダークファイバーを借りることに決定した。このダークファイバーで秋葉原キャンパスと東京・大手町のデータセンター間を直接接続し、KADOKAWAグループのバックボーン(基幹ネットワーク)につなぐ。この方法でインターネット回線のスピードが10Gbpsを下回らないようにした。「10Gbpsの帯域保証付きのインターネット接続サービスを契約するのと同じ品質の回線を、コストを抑えて用意できました」と東松氏は話す。

    エッジ側は、秋葉原キャンパスの利用者数を150人と想定。150人が同時にインターネットを400Mbps以上で支障なく利用できる無線LANの仕様を検討した。無線LANのアクセスポイント(AP)を何台設置し、どのような構成で運用するのかが焦点となった。

    無線LANのスピードを高めるには、高速規格である「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)準拠のAPを選ぶことが必要だ。多数のエンドユーザーが同時に接続したときにも十分なスピードと可用性を確保するには、APの台数を標準よりも多めにするのがよいと、KADOKAWA Connectedは考えた。1台のAP当たりの利用者数が多いと動作が不安定になるし、1台のAPが故障しただけで多くのエンドユーザーがインターネットを利用できなくなるという状態になりかねない。「たくさんのAPを高密度で設置しておけば、1、2台壊れてもそれほど困ることはありません。しばらくはそのままにしておき、夏休みなどの長期休暇になってから交換するという方法も取れるようになります」(東松氏)

    可用性を向上させるために、イーサネットの給電を担う「Power over Ethernet」(PoE)を活用し、APへの電力供給を途切れさせないようにした。PoEはスイッチから給電する仕組みのため、スイッチに障害が発生すると、そこにつながっているAPが全て止まってしまう。そこで秋葉原キャンパスでは全てのAPを2つのスイッチに接続するネットワークトポロジーを採用している。同時に2つのスイッチに障害が発生しない限り、APへの電力供給が絶たれることはない。

    Aruba AP-535とAruba AirWaveで高速無線LANを短期構築

    このようなネットワーク設計は、KADOKAWAグループのポップカルチャー発信拠点「ところざわサクラタウン」(埼玉県所沢市)のネットワーク構築の経験に基づいている。KADOKAWA ConnectedはところざわサクラタウンのITインフラも手掛けており、その経験と知見を標準化して、KADOKAWAグループ全体のITインフラの構築に適用している。

    ところざわサクラタウンと秋葉原キャンパスのネットワーク機器には、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の「Aruba」製品群を全面的に採用した。「性能と信頼性、使い勝手は、ところざわサクラタウンへの導入プロジェクトで余すところなく検証しました」と、東松氏は話す。Aruba製品の採用の決め手となったのは、HPEのサポートが直接受けられることだったという。

    秋葉原キャンパスの無線LANのAPとして選んだのは、Unified AP(物理コントローラーと仮想コントローラーが一体型になった製品)の「Aruba 530 シリーズ」だ。「電波の出力調整や通信速度などを細かくチューニングできることに加え、詳細なログを出力できるため、運用管理の面でも安心です」(横山氏)
             

    Diagram of network implemented at N/S Highschool
    図 N/S高のネットワーク構成(出典:KADOKAWA Connected資料を基に作図)

    ところざわサクラタウンはArubaのコントローラー製品を使い、複数のAPを統合管理しているのに対し、秋葉原キャンパスは「Aruba AP-530シリーズ」に内蔵された仮想コントローラー「Aruba Instant AP」(IAP)で管理する方法を選んだ。秋葉原キャンパスのAPは全12台と小規模で、IAPで事足りるためだ。1台のコントローラーが単一障害点になることを避ける狙いもある。

    運用管理ツールにはネットワーク管理システム「Aruba AirWave」を導入し、秋葉原キャンパスの無線LANのパフォーマンス測定と問題解決に利用している。APとインターネット回線をつなぐスイッチには、「Aruba 2930スイッチシリーズ」を採用した(図)。
                  
    Aruba AirWaveのユーザーインタフェースは「直感的で使いやすく、マニュアルなしで管理作業ができます」と東松氏は高く評価する。ドワンゴが主催するユーザー参加型イベント「ニコニコ超会議」でインターネット接続を無料開放した際は、一度に2000人が接続してつながりにくくなる現象が起きた。その際はAruba AirWaveを見ながら「AP1台当たりの人数が多過ぎる」という原因を迅速に突き止めることができたという。「現時点では、秋葉原キャンパスで無線LAN関連の障害は発生していません。ですが仮に障害が起きた場合は原因の絞り込みや作業の優先順位付けにAruba AirWaveが役立ちそうです」(東松氏)

    ところざわサクラタウンでの経験と知見を生かすことで、秋葉原キャンパスのネットワーク構築にかかる期間は短縮できた。「構築を開始したのが2022年2月で、チューニングを繰り返しながら通信品質を設計目標に近づけました」と、横山氏は話す。同年3月に入ると教職員による試運用が始まり、翌月の4月1日に本稼働した。

    高速・低遅延の無線LANが完成し生徒も運用管理者も満足な結果に

    秋葉原キャンパスに導入されたAruba製品群は順調に稼働しており、トラブルは発生していないという。KADOKAWA Connectedによるスピードの実測値は、1端末当たり400Mbps以上だ。東松氏は、他のキャンパスの数倍は速いのではないかと推測している。「高速で低遅延の無線LANを低コストで実現することができました。トラブルは累計ゼロ件です」(東松氏)

    生徒の間でも、秋葉原キャンパスの無線LANネットワークに対する評価は高い。同キャンパスに通う生徒に感想を聞いたところ「自宅より圧倒的に快適」「4K動画が0.5秒ほどで読み込める」「"重い"クラウドゲームサービスがカクカクせずに動く」といった回答が寄せられた。

    N/S高の教職員も、「複数の生徒が同時に8K(8000×4000ピクセル程度の解像度)の高画質映像を視聴できる」「遠隔地にいる生徒とのオンライン共同制作の場で、スムーズにコミュニケーションが取れる」「eスポーツで必要な超低遅延のインターネット接続が可能になった」などの効果を確認している。

    KADOKAWA ConnectedはHPE Arubaのサポート体制も評価する。KADOKAWA Connectedのエンジニアが特に歓迎しているのが、Aruba製品群に関するオンラインのディスカッションフォーラム「Airheads Community」だ。「マニュアルに書かれているよりも詳細な製品の仕様を調べることができるので、設定変更や調査の際に生じた不明点を解明するのに便利です」と横山氏は話す。
     秋葉原キャンパスの無線LANが軌道に乗ったことを確かめたKADOKAWA Connectedは、この導入の過程で得られた経験を分析・評価した上で、次の新設キャンパスにも生かしたいと考えている。秋葉原キャンパスの経験を次の導入案件にフィードバックすることによって、N/S高全体のネットワーク品質をさらに高めることが同社の狙いだ。

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    電波の出力調整や通信速度などを細かくチューニングできることに加え、詳細なログを出力できるため、運用管理の面でも安心です
    株式会社KADOKAWA Connected、Infra Architect部、横山弘和 氏
  • お客様プロフィール

    KADOKAWAグループは1945年の創業以来、出版や映像、Webサービスをはじめ多種多様なコンテンツを提供してきたエンターテインメント企業です。ポップカルチャーの発信拠点である「ところざわサクラタウン」の他、ドワンゴが運営する「N予備校」をはじめとした教育分野にも注力しています。
    • 業種・業態: 教育
    • ロケーション: 東京都
    • 導入規模: 150名以上

    ユースケース

    N/S高が「Wi-Fi」で400Mbpsの高速な学園ネットワークを実現できた理由

    課題

    • 大容量データ通信における遅延や通信速度低下の抑止
    • 教育の根幹であるキャンパスネットワークの可用性向上
    • 複雑になりがちなネットワーク運用管理の簡素化

    効果

    • 実測値400Mbps以上の高速で途切れにくい無線LAN通信を実現
    • 無線LANの速度と可用性を高めつつもコストを最大限抑制
    • ログ収集やチューニングによってトラブル発生を抑止するとともに、運用の効率化を実現

    KADOKAWAとドワンゴが創立した通信制高等学校のN高等学校(本校:沖縄県うるま市、以下N高)とS高等学校(本校:茨城県つくば市、以下S高)は「ネットの高校」として、Web会議アプリケーションやグラフィック編集アプリケーションを積極的に利用している。N高およびS高(以下、N/S高)では、エンドユーザーである生徒が通信データ量の多いアプリケーションをキャンパスで使うことで、ネットワークが"重く" なりがちだった。両校はこうした悩みを解決するため、秋葉原キャンパス(東京都千代田区)に高速通信を実現する無線LAN 設備を導入した。

    "ネットの高校"のネットワークにはスピードと可用性が求められる

    N/S高は、学校法人角川ドワンゴ学園が運営する「ネットの高校」として、通信制高校の制度とインターネットを活用した教育を推進している。同学園は両校の生徒が通学して学ぶための拠点として、複数のキャンパスを国内各地に設置している。そのキャンパスの一つが、東京・秋葉原の電気街にある秋葉原キャンパスだ。  

    秋葉原キャンパスのネットワーク設計と構築は、KADOKAWA Connectedが担当した。同社はKADOKAWAグループでITインフラや情報システムの設計と構築、運用管理を担当している機能子会社だ。「当社のエンジニアの多くは、ドワンゴで『ニコニコ動画』などのIT基盤を担当していました」と、同社の東松裕道氏(Infra Architect部部長)は説明する。秋葉原キャンパスの無線LANの設計や構築は、同社の横山弘和氏(Infra Architect部)が主導した。

    N/S高が各キャンパスのネットワークに最大限のスピードと可用性を求めているのは、両校の運営がインターネット接続を前提にしているためだ。N/S高は、授業や学習、生徒と職員間のコミュニケーションに加え、定期テストもオンラインで実施する。そのためネットワークが止まったり通信速度が低下したりすると、業務や教育に大きな支障が出る。「高校といっても、N/S高のネットワークには製造業のものと同等か、それ以上のスピードと可用性が欠かせません」(東松氏)

    特にN/S高のネットワークに負荷をかけるのは、Web会議サービスの「Zoom」だ。その利用実態について、東松氏は次のように語る。「Web会議は、映像と音声のどちらかが乱れるとユーザーのストレスが高まります。N/S高の場合、授業で生徒全員がWeb会議サービスを使うので、端末ごとに十分な帯域を用意する必要がありました」

    VR(仮想現実)やeスポーツ用のアプリケーション、Adobeのグラフィック編集サービス「Adobe Creative Cloud」(Adobe CC)など、オンライン授業や生徒の交流に利用するアプリケーションも、大量のデータ転送が発生する。多人数のエンドユーザーが同時に使用するとネットワーク通信の速度低下が発生する懸念があった。

    10Gbpsのダークファイバーを契約、設計ではスピードと可用性を重視

    秋葉原キャンパスのネットワーク設計の際、KADOKAWA Connectedはネットワークの構成要素を「インターネット回線」と「エッジ」(秋葉原キャンパス内ネットワーク)に分け、両方を入念に検討することにした。その結果インターネット回線は、通信事業者の広域イーサネットなどのWANサービスではなく、ダークファイバーを借りることに決定した。このダークファイバーで秋葉原キャンパスと東京・大手町のデータセンター間を直接接続し、KADOKAWAグループのバックボーン(基幹ネットワーク)につなぐ。この方法でインターネット回線のスピードが10Gbpsを下回らないようにした。「10Gbpsの帯域保証付きのインターネット接続サービスを契約するのと同じ品質の回線を、コストを抑えて用意できました」と東松氏は話す。

    エッジ側は、秋葉原キャンパスの利用者数を150人と想定。150人が同時にインターネットを400Mbps以上で支障なく利用できる無線LANの仕様を検討した。無線LANのアクセスポイント(AP)を何台設置し、どのような構成で運用するのかが焦点となった。

    無線LANのスピードを高めるには、高速規格である「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)準拠のAPを選ぶことが必要だ。多数のエンドユーザーが同時に接続したときにも十分なスピードと可用性を確保するには、APの台数を標準よりも多めにするのがよいと、KADOKAWA Connectedは考えた。1台のAP当たりの利用者数が多いと動作が不安定になるし、1台のAPが故障しただけで多くのエンドユーザーがインターネットを利用できなくなるという状態になりかねない。「たくさんのAPを高密度で設置しておけば、1、2台壊れてもそれほど困ることはありません。しばらくはそのままにしておき、夏休みなどの長期休暇になってから交換するという方法も取れるようになります」(東松氏)

    可用性を向上させるために、イーサネットの給電を担う「Power over Ethernet」(PoE)を活用し、APへの電力供給を途切れさせないようにした。PoEはスイッチから給電する仕組みのため、スイッチに障害が発生すると、そこにつながっているAPが全て止まってしまう。そこで秋葉原キャンパスでは全てのAPを2つのスイッチに接続するネットワークトポロジーを採用している。同時に2つのスイッチに障害が発生しない限り、APへの電力供給が絶たれることはない。

    Aruba AP-535とAruba AirWaveで高速無線LANを短期構築

    このようなネットワーク設計は、KADOKAWAグループのポップカルチャー発信拠点「ところざわサクラタウン」(埼玉県所沢市)のネットワーク構築の経験に基づいている。KADOKAWA ConnectedはところざわサクラタウンのITインフラも手掛けており、その経験と知見を標準化して、KADOKAWAグループ全体のITインフラの構築に適用している。

    ところざわサクラタウンと秋葉原キャンパスのネットワーク機器には、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の「Aruba」製品群を全面的に採用した。「性能と信頼性、使い勝手は、ところざわサクラタウンへの導入プロジェクトで余すところなく検証しました」と、東松氏は話す。Aruba製品の採用の決め手となったのは、HPEのサポートが直接受けられることだったという。

    秋葉原キャンパスの無線LANのAPとして選んだのは、Unified AP(物理コントローラーと仮想コントローラーが一体型になった製品)の「Aruba 530 シリーズ」だ。「電波の出力調整や通信速度などを細かくチューニングできることに加え、詳細なログを出力できるため、運用管理の面でも安心です」(横山氏)
             

    Diagram of network implemented at N/S Highschool
    図 N/S高のネットワーク構成(出典:KADOKAWA Connected資料を基に作図)

    ところざわサクラタウンはArubaのコントローラー製品を使い、複数のAPを統合管理しているのに対し、秋葉原キャンパスは「Aruba AP-530シリーズ」に内蔵された仮想コントローラー「Aruba Instant AP」(IAP)で管理する方法を選んだ。秋葉原キャンパスのAPは全12台と小規模で、IAPで事足りるためだ。1台のコントローラーが単一障害点になることを避ける狙いもある。

    運用管理ツールにはネットワーク管理システム「Aruba AirWave」を導入し、秋葉原キャンパスの無線LANのパフォーマンス測定と問題解決に利用している。APとインターネット回線をつなぐスイッチには、「Aruba 2930スイッチシリーズ」を採用した(図)。
                  
    Aruba AirWaveのユーザーインタフェースは「直感的で使いやすく、マニュアルなしで管理作業ができます」と東松氏は高く評価する。ドワンゴが主催するユーザー参加型イベント「ニコニコ超会議」でインターネット接続を無料開放した際は、一度に2000人が接続してつながりにくくなる現象が起きた。その際はAruba AirWaveを見ながら「AP1台当たりの人数が多過ぎる」という原因を迅速に突き止めることができたという。「現時点では、秋葉原キャンパスで無線LAN関連の障害は発生していません。ですが仮に障害が起きた場合は原因の絞り込みや作業の優先順位付けにAruba AirWaveが役立ちそうです」(東松氏)

    ところざわサクラタウンでの経験と知見を生かすことで、秋葉原キャンパスのネットワーク構築にかかる期間は短縮できた。「構築を開始したのが2022年2月で、チューニングを繰り返しながら通信品質を設計目標に近づけました」と、横山氏は話す。同年3月に入ると教職員による試運用が始まり、翌月の4月1日に本稼働した。

    高速・低遅延の無線LANが完成し生徒も運用管理者も満足な結果に

    秋葉原キャンパスに導入されたAruba製品群は順調に稼働しており、トラブルは発生していないという。KADOKAWA Connectedによるスピードの実測値は、1端末当たり400Mbps以上だ。東松氏は、他のキャンパスの数倍は速いのではないかと推測している。「高速で低遅延の無線LANを低コストで実現することができました。トラブルは累計ゼロ件です」(東松氏)

    生徒の間でも、秋葉原キャンパスの無線LANネットワークに対する評価は高い。同キャンパスに通う生徒に感想を聞いたところ「自宅より圧倒的に快適」「4K動画が0.5秒ほどで読み込める」「"重い"クラウドゲームサービスがカクカクせずに動く」といった回答が寄せられた。

    N/S高の教職員も、「複数の生徒が同時に8K(8000×4000ピクセル程度の解像度)の高画質映像を視聴できる」「遠隔地にいる生徒とのオンライン共同制作の場で、スムーズにコミュニケーションが取れる」「eスポーツで必要な超低遅延のインターネット接続が可能になった」などの効果を確認している。

    KADOKAWA ConnectedはHPE Arubaのサポート体制も評価する。KADOKAWA Connectedのエンジニアが特に歓迎しているのが、Aruba製品群に関するオンラインのディスカッションフォーラム「Airheads Community」だ。「マニュアルに書かれているよりも詳細な製品の仕様を調べることができるので、設定変更や調査の際に生じた不明点を解明するのに便利です」と横山氏は話す。
     秋葉原キャンパスの無線LANが軌道に乗ったことを確かめたKADOKAWA Connectedは、この導入の過程で得られた経験を分析・評価した上で、次の新設キャンパスにも生かしたいと考えている。秋葉原キャンパスの経験を次の導入案件にフィードバックすることによって、N/S高全体のネットワーク品質をさらに高めることが同社の狙いだ。

    電波の出力調整や通信速度などを細かくチューニングできることに加え、詳細なログを出力できるため、運用管理の面でも安心です
    株式会社KADOKAWA Connected、Infra Architect部、横山弘和 氏