国立大学法人東京大学 理学系研究科・理学部

  • お客様プロフィール

    10学科と5つの専攻、並びに13の附属施設で構成される東京大学 理学系研究科・理学部では、日本を代表する先端教育機関として、素粒子・原子・分子といったミクロな領域から、細胞や生物、さらには地球・宇宙環境に至るまで、自然界における現象とその背後にある普遍の法則に関する研究を幅広く行っている。
    • 業種・業態: 高等教育
    • ロケーション: 東京都
    • 導入規模: 10 学科、5 専攻、13 の附属施設

    ビジョン

    キャンパスネットワークをArubaで刷新
    最先端の理学研究教育を支える安定した環境を実現、
    大量のスイッチ群をクラウドで統合管理、運用効率化やインシデント対応の迅速化に寄与

    目的

    • 安定してつながるネットワークにしたい
    • セキュリティインシデントへの対応や運用管理を効率的に行いたい
    • トラブルシューティングや障害対応をスピーディに行えるようにしたい

    効果

    • Aruba スイッチシリーズを新たに導入し高性能・高信頼なインフラを低コストで実現
    • Aruba Central によるクラウド統合管理で環境の可視化と運用効率化を実現
    • AIOps のログ分析機能などを活用し、よりプロアクティブな対応を推進
    日本を代表する先端学術研究機関である東京大学 理学系研究科・理学部では、教員や学生の教育研究活動を支える部局内ネットワークの再構築を実施した。今回の調達においては、コア〜エッジスイッチに「Aruba Networking CX スイッチシリーズ」を導入。高い性能と信頼性を活かして安定したネットワーク環境を実現すると同時に、「Aruba Central 」によるクラウド統合管理も実施し、どこからでも容易に管理画面にアクセスできる環境を実現。大量のスイッチ群の一元的な管理やセキュリティインシデントへの迅速な対応など、運用管理業務の効率化に役立てていく考えだ。

    情報システムチームを中心に教員や学生の 活動を支える情報基盤の整備を推進

    1877年の創立以来、約170 年もの長きにわたり日本の「知」を紡ぎ続けてきた東京大学。同大学において、世界的にも最先端の教育研究活動を展開しているのが理学系研究科・理学部である。数学、情報科学、物理、天文、地球惑星物理、地球惑星環境、化学、生物化学、生物、生物情報科学の10 学科と、物理学、天文学、地球惑星科学、化学、生物科学の5 専攻、並びに13の附属施設を擁する同学部・学科では、自然や宇宙に関わる研究を幅広く展開。その卒業生からは、ノーベル賞受賞者も数多く輩出している。
     
    現代の教育研究においては、先進ICTの利活用も欠かせないものとなっている。そこで同研究科・学部でも、情報システムチームを中心に情報基盤の整備を推進。東京大学 大学院理学系研究科 情報システムチーム 助教 下見 淳一郎氏は「本学では、各研究科や研究所などの組織を部局と呼んでおり、様々な管理もこの部局単位で行っています。たとえばネットワークについても、バックボーンなどの大学全体に関わる部分については『UTNET( 東京大学情報ネットワークシステム) 』による運用を行っていますが、当部局内の建屋や拠点を結ぶネットワークについては我々が構築・運用を担当しています」と説明する。
     
    万一ネットワークに障害が発生した場合には、日々の講義や研究などに直接的な影響が生じてしまう。それだけに信
    頼性・安定性の確保には細心の注意を払っているとのこと。「ユーザーにとって、ネットワークが使えるのは当たり前のこと。いわば電気や水道と同じようなものですので、我々としても安定したサービス提供を心掛けています」と続ける。

    部局内ネットワークの再構築に着手 クラウド統合管理が重要なポイントに

    その同研究科・学部において、今回実施されたのが、部局内ネットワークの再構築プロジェクトである。基本的には、既存システムの老朽化に伴う定期更新だが、今回の更新では安定性のさらなる向上と適切に運用管理が行えることを重視。その中で大きなポイントとなったのが、クラウドによる統合管理である。
     
    下見氏はクラウド統合管理に着目した理由を「スイッチ設定作業の煩雑さなどもさることながら、我々にとって一番の課題はセキュリティインシデントへの対応でした。部局内ネットワークの運用を行う中では、学内のセキュリティ部門から、『そちらの部局のIPアドレスから不審な通信が発生している』といった連絡が来るケースもあります。そのほとんどが問題ないものではありますが、連絡が来れば対応しないわけにはいきません。とはいえ、スイッチにログインして所在を調べてといった作業には、ある程度のスキルが必要であり、誰にでもできるというものではありません。その点、ネットワーク環境全体をクラウドで管理すれば、リモートからでも接続/操作が行えますし、分かりやすいWeb UIを用いることで高スキルの必要性も低減します。加えて、必要に応じて管理者権限を付与することで、作業に対応可能な人を増やしていくことも可能です。これにより属人性の問題を解消し、運用性を向上させることができます」と語る。
     
    クラウド統合管理機能自体は、前回更新時から実装されていたが、機器の動作が不安定である、提供される情報が不十分などの不満もあったとのこと。「今回の更新にあたっては、そこが改善されればとの期待もありました」と下見氏は続ける。

    Arubaのソリューションで 導入コストを抑えつつ 安定した環境を実現

     同研究科・学部では、各種の設備を一般競争入札で調達しているため、今回も複数のIT企業に提案を依頼。ちなみに入札仕様の策定にあたっては、できるだけ特定の技術やベンダーに依存しないようにしているとのこと。限られた企業しか入札に参加できなくなるような事態を避けることで、大学にとって最適な提案を幅広く募るのが狙いだ。「特に今回の更新は、コロナ禍による半導体不足の時期とも重なったため、限られた予算内で確実に調達できることも重視しました」と下見氏は語る。
     
    その結果、次期ネットワークを支える製品として導入されたのが、「Aruba Networking CX スイッチシリーズ」、並びにクラウド管理ソリューション「Aruba Central 」である。一般競争入札である以上、導入の決め手となるのはまず費用だ。その点、Aruba 製品のコストパフォーマンスは群を抜いていたとのこと。「もちろん、ただ安いだけの製品では困ります。
    しかし、Arubaについては、部局内で無線LANも構築していた時代にアクセスポイントを導入した実績もあります。今回の製品の概要や特長についても、日本ヒューレット・パッカード(HPE) から事前に詳しく紹介してもらいましたので、不安感は全くありませんでしたね。コストを最小限に抑えつつ、望んだ通りの環境を実現できたのは大変良かったと考えています」と下見氏は満足感を示す。
     
    具体的なモデルとしては、インテリジェントなモジュラースイッチである「Aruba CX 6400スイッチシリーズ」をコアスイッチとして採用。また本郷キャンパス内の各建物には、スタッカブルスイッチ「Aruba CX 6300スイッチシリーズ」が配置されている。さらにフロアスイッチとして「Aruba CX 6100 スイッチシリーズ」を採用。こちらは本郷キャンパス内の各建物に加えて、小石川植物園や日光植物園、木曾天文台などの学外施設にも設置されている。「導入からまだ間もないこともありますが、今のところ性能や信頼性に関わる不満は全く感じていません。最近ではWeb会議システムのような重たいアプリケーションの利用も増えていますが、こうしたものも快適に使えています」と下見氏は語る。

    拠点も含めた大量のスイッチ群を クラウド環境から一元的に管理 インシデント対応もスピーディに

    今回導入されたAruba CX スイッチシリーズは合計100 台以上にも上るが、これらを管理する上で大きな効果を発揮しているのが、前述のAruba Centralである。これを利用することで、複数拠点にまたがるネットワークの設定や監視を、
    クラウド環境から一元的に実施することが可能。大規模ネットワーク環境の運用管理に掛かる負担を大きく引き下げることができる。
     
    「Aruba Centralの存在は以前から知っていましたが、実際に使ってみてまず感じたのは、ユーザーインターフェースの見やすさです。知りたい情報がバランスよく配置されていますので、操作に迷うようなこともありません」と下見氏は語る。

     クラウド統合管理の利便性を実感する場面も少なくないとのこと。下見氏は「コアスイッチ以外のスイッチの設定はそれほど頻繁には変更しませんが、それでも部局内の各部屋に設けられた情報コンセントのVLANを変えたいといった要望が寄せられるケースもあります。こうした際に、誰でも簡単にクラウドで作業ができるというのは、大変ありがたいですね」と語る。また、懸案であったセキュリティインシデント発生時の対応についても、より効率的に行うことが可能に。ネットワーク環境がすべて可視化されているため、目的の端末の情報をすみやかに把握できるようになった。以前の環境で問題になっていた機器動作の不安定さなども、Aruba導入後は無事解消されたとのことだ。
     
    加えて、もう一つ高く評価されているポイントが、通常のWeb管理画面とコマンドライン・インターフェース(以下、CLI) を併用できる点だ。下見氏は「普段の運用管理は見やすいWeb 画面の方が便利ですが、トラブルシューティングを行う際など、CLIが使えた方が手っ取り早いケースも少なくありません。目的や用途に応じて適切な方法を選べるというのは、管理者にとって大きなメリットと言えます」と説明する。

    「AIOps」の活用も視野に入れつつ 今後も継続的な環境改善を推進

    さらに、同研究科・学部では、Aruba Centralの特長である「AIOps」についても注目しているとのこと。この機能では、全世界のAruba Centralの利用情報をAIで分析・活用することで、よりプロアクティブな運用管理を実現。Arubaが提唱する「Aruba Edge Service Platform(ESP) 」の構成要素の一つともなっている。その具体的な機能としては、Aruba のスイッチやアクセスポイントで発生するイベントログをAI で解析し、問題の原因特定や推奨設定の提示などを行う「AI Insight」、自然文での効率的な検索が可能な「AI Search」、トラブルシューティング時のワークフローを自動化する「AI Assist 」などが挙げられる。「導入後まだ間もないこともあり、Aruba Centralの使いこなしもまだまだこれからが本番といった段階です。AIOpsについても、面白そうな機能だと感じていますので、これからいろいろ試していければ」と下見氏はにこやかに語る。
     
    HPE 並びにArubaソリューションの進化に対しても、大きな期待が寄せられている。「スイッチやAruba Central自体の機能強化はもちろんですが、HPEが提供する他のソリューションやサードパーティ製品とのコラボレーションもぜひ期待したい。HPEはグローバル総合ITベンダーですから、たとえばArubaのシャーシ内にセキュリティモジュールを組み込むなど、いろいろな展開が考えられると思います。そうした先進的なソリューションが出てくれば、本学での活用機会も増えてくるはず」と下見氏。さらに今後の展望を「部局と全学の役割分担も変わってきていますが、我々としては引き続き安定したネットワークサービスを提供することで、学生や教員の教育研究活動を支えていきたい」と述べた。

    詳細はこちら

    東京大学 理学系研究科・理学部では、本郷 キャンパスや遠隔地の研究施設を結ぶ部局内 ネットワークを運用しています。今回Arubaを 導入したことで、サービスの安定性向上やク ラウドによる効率的な管理など様々なメリット を得ることができました。今後は「AIOps」の 活用なども進めていきたいと考えています
    東京大学,大学院理学系研究科,情報システムチーム,助教,下見 淳一郎 氏
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    10学科と5つの専攻、並びに13の附属施設で構成される東京大学 理学系研究科・理学部では、日本を代表する先端教育機関として、素粒子・原子・分子といったミクロな領域から、細胞や生物、さらには地球・宇宙環境に至るまで、自然界における現象とその背後にある普遍の法則に関する研究を幅広く行っている。
    • 業種・業態: 高等教育
    • ロケーション: 東京都
    • 導入規模: 10 学科、5 専攻、13 の附属施設

    ビジョン

    キャンパスネットワークをArubaで刷新
    最先端の理学研究教育を支える安定した環境を実現、
    大量のスイッチ群をクラウドで統合管理、運用効率化やインシデント対応の迅速化に寄与

    目的

    • 安定してつながるネットワークにしたい
    • セキュリティインシデントへの対応や運用管理を効率的に行いたい
    • トラブルシューティングや障害対応をスピーディに行えるようにしたい

    効果

    • Aruba スイッチシリーズを新たに導入し高性能・高信頼なインフラを低コストで実現
    • Aruba Central によるクラウド統合管理で環境の可視化と運用効率化を実現
    • AIOps のログ分析機能などを活用し、よりプロアクティブな対応を推進
    日本を代表する先端学術研究機関である東京大学 理学系研究科・理学部では、教員や学生の教育研究活動を支える部局内ネットワークの再構築を実施した。今回の調達においては、コア〜エッジスイッチに「Aruba Networking CX スイッチシリーズ」を導入。高い性能と信頼性を活かして安定したネットワーク環境を実現すると同時に、「Aruba Central 」によるクラウド統合管理も実施し、どこからでも容易に管理画面にアクセスできる環境を実現。大量のスイッチ群の一元的な管理やセキュリティインシデントへの迅速な対応など、運用管理業務の効率化に役立てていく考えだ。

    情報システムチームを中心に教員や学生の 活動を支える情報基盤の整備を推進

    1877年の創立以来、約170 年もの長きにわたり日本の「知」を紡ぎ続けてきた東京大学。同大学において、世界的にも最先端の教育研究活動を展開しているのが理学系研究科・理学部である。数学、情報科学、物理、天文、地球惑星物理、地球惑星環境、化学、生物化学、生物、生物情報科学の10 学科と、物理学、天文学、地球惑星科学、化学、生物科学の5 専攻、並びに13の附属施設を擁する同学部・学科では、自然や宇宙に関わる研究を幅広く展開。その卒業生からは、ノーベル賞受賞者も数多く輩出している。
     
    現代の教育研究においては、先進ICTの利活用も欠かせないものとなっている。そこで同研究科・学部でも、情報システムチームを中心に情報基盤の整備を推進。東京大学 大学院理学系研究科 情報システムチーム 助教 下見 淳一郎氏は「本学では、各研究科や研究所などの組織を部局と呼んでおり、様々な管理もこの部局単位で行っています。たとえばネットワークについても、バックボーンなどの大学全体に関わる部分については『UTNET( 東京大学情報ネットワークシステム) 』による運用を行っていますが、当部局内の建屋や拠点を結ぶネットワークについては我々が構築・運用を担当しています」と説明する。
     
    万一ネットワークに障害が発生した場合には、日々の講義や研究などに直接的な影響が生じてしまう。それだけに信
    頼性・安定性の確保には細心の注意を払っているとのこと。「ユーザーにとって、ネットワークが使えるのは当たり前のこと。いわば電気や水道と同じようなものですので、我々としても安定したサービス提供を心掛けています」と続ける。

    部局内ネットワークの再構築に着手 クラウド統合管理が重要なポイントに

    その同研究科・学部において、今回実施されたのが、部局内ネットワークの再構築プロジェクトである。基本的には、既存システムの老朽化に伴う定期更新だが、今回の更新では安定性のさらなる向上と適切に運用管理が行えることを重視。その中で大きなポイントとなったのが、クラウドによる統合管理である。
     
    下見氏はクラウド統合管理に着目した理由を「スイッチ設定作業の煩雑さなどもさることながら、我々にとって一番の課題はセキュリティインシデントへの対応でした。部局内ネットワークの運用を行う中では、学内のセキュリティ部門から、『そちらの部局のIPアドレスから不審な通信が発生している』といった連絡が来るケースもあります。そのほとんどが問題ないものではありますが、連絡が来れば対応しないわけにはいきません。とはいえ、スイッチにログインして所在を調べてといった作業には、ある程度のスキルが必要であり、誰にでもできるというものではありません。その点、ネットワーク環境全体をクラウドで管理すれば、リモートからでも接続/操作が行えますし、分かりやすいWeb UIを用いることで高スキルの必要性も低減します。加えて、必要に応じて管理者権限を付与することで、作業に対応可能な人を増やしていくことも可能です。これにより属人性の問題を解消し、運用性を向上させることができます」と語る。
     
    クラウド統合管理機能自体は、前回更新時から実装されていたが、機器の動作が不安定である、提供される情報が不十分などの不満もあったとのこと。「今回の更新にあたっては、そこが改善されればとの期待もありました」と下見氏は続ける。

    Arubaのソリューションで 導入コストを抑えつつ 安定した環境を実現

     同研究科・学部では、各種の設備を一般競争入札で調達しているため、今回も複数のIT企業に提案を依頼。ちなみに入札仕様の策定にあたっては、できるだけ特定の技術やベンダーに依存しないようにしているとのこと。限られた企業しか入札に参加できなくなるような事態を避けることで、大学にとって最適な提案を幅広く募るのが狙いだ。「特に今回の更新は、コロナ禍による半導体不足の時期とも重なったため、限られた予算内で確実に調達できることも重視しました」と下見氏は語る。
     
    その結果、次期ネットワークを支える製品として導入されたのが、「Aruba Networking CX スイッチシリーズ」、並びにクラウド管理ソリューション「Aruba Central 」である。一般競争入札である以上、導入の決め手となるのはまず費用だ。その点、Aruba 製品のコストパフォーマンスは群を抜いていたとのこと。「もちろん、ただ安いだけの製品では困ります。
    しかし、Arubaについては、部局内で無線LANも構築していた時代にアクセスポイントを導入した実績もあります。今回の製品の概要や特長についても、日本ヒューレット・パッカード(HPE) から事前に詳しく紹介してもらいましたので、不安感は全くありませんでしたね。コストを最小限に抑えつつ、望んだ通りの環境を実現できたのは大変良かったと考えています」と下見氏は満足感を示す。
     
    具体的なモデルとしては、インテリジェントなモジュラースイッチである「Aruba CX 6400スイッチシリーズ」をコアスイッチとして採用。また本郷キャンパス内の各建物には、スタッカブルスイッチ「Aruba CX 6300スイッチシリーズ」が配置されている。さらにフロアスイッチとして「Aruba CX 6100 スイッチシリーズ」を採用。こちらは本郷キャンパス内の各建物に加えて、小石川植物園や日光植物園、木曾天文台などの学外施設にも設置されている。「導入からまだ間もないこともありますが、今のところ性能や信頼性に関わる不満は全く感じていません。最近ではWeb会議システムのような重たいアプリケーションの利用も増えていますが、こうしたものも快適に使えています」と下見氏は語る。

    拠点も含めた大量のスイッチ群を クラウド環境から一元的に管理 インシデント対応もスピーディに

    今回導入されたAruba CX スイッチシリーズは合計100 台以上にも上るが、これらを管理する上で大きな効果を発揮しているのが、前述のAruba Centralである。これを利用することで、複数拠点にまたがるネットワークの設定や監視を、
    クラウド環境から一元的に実施することが可能。大規模ネットワーク環境の運用管理に掛かる負担を大きく引き下げることができる。
     
    「Aruba Centralの存在は以前から知っていましたが、実際に使ってみてまず感じたのは、ユーザーインターフェースの見やすさです。知りたい情報がバランスよく配置されていますので、操作に迷うようなこともありません」と下見氏は語る。

     クラウド統合管理の利便性を実感する場面も少なくないとのこと。下見氏は「コアスイッチ以外のスイッチの設定はそれほど頻繁には変更しませんが、それでも部局内の各部屋に設けられた情報コンセントのVLANを変えたいといった要望が寄せられるケースもあります。こうした際に、誰でも簡単にクラウドで作業ができるというのは、大変ありがたいですね」と語る。また、懸案であったセキュリティインシデント発生時の対応についても、より効率的に行うことが可能に。ネットワーク環境がすべて可視化されているため、目的の端末の情報をすみやかに把握できるようになった。以前の環境で問題になっていた機器動作の不安定さなども、Aruba導入後は無事解消されたとのことだ。
     
    加えて、もう一つ高く評価されているポイントが、通常のWeb管理画面とコマンドライン・インターフェース(以下、CLI) を併用できる点だ。下見氏は「普段の運用管理は見やすいWeb 画面の方が便利ですが、トラブルシューティングを行う際など、CLIが使えた方が手っ取り早いケースも少なくありません。目的や用途に応じて適切な方法を選べるというのは、管理者にとって大きなメリットと言えます」と説明する。

    「AIOps」の活用も視野に入れつつ 今後も継続的な環境改善を推進

    さらに、同研究科・学部では、Aruba Centralの特長である「AIOps」についても注目しているとのこと。この機能では、全世界のAruba Centralの利用情報をAIで分析・活用することで、よりプロアクティブな運用管理を実現。Arubaが提唱する「Aruba Edge Service Platform(ESP) 」の構成要素の一つともなっている。その具体的な機能としては、Aruba のスイッチやアクセスポイントで発生するイベントログをAI で解析し、問題の原因特定や推奨設定の提示などを行う「AI Insight」、自然文での効率的な検索が可能な「AI Search」、トラブルシューティング時のワークフローを自動化する「AI Assist 」などが挙げられる。「導入後まだ間もないこともあり、Aruba Centralの使いこなしもまだまだこれからが本番といった段階です。AIOpsについても、面白そうな機能だと感じていますので、これからいろいろ試していければ」と下見氏はにこやかに語る。
     
    HPE 並びにArubaソリューションの進化に対しても、大きな期待が寄せられている。「スイッチやAruba Central自体の機能強化はもちろんですが、HPEが提供する他のソリューションやサードパーティ製品とのコラボレーションもぜひ期待したい。HPEはグローバル総合ITベンダーですから、たとえばArubaのシャーシ内にセキュリティモジュールを組み込むなど、いろいろな展開が考えられると思います。そうした先進的なソリューションが出てくれば、本学での活用機会も増えてくるはず」と下見氏。さらに今後の展望を「部局と全学の役割分担も変わってきていますが、我々としては引き続き安定したネットワークサービスを提供することで、学生や教員の教育研究活動を支えていきたい」と述べた。

    東京大学 理学系研究科・理学部では、本郷 キャンパスや遠隔地の研究施設を結ぶ部局内 ネットワークを運用しています。今回Arubaを 導入したことで、サービスの安定性向上やク ラウドによる効率的な管理など様々なメリット を得ることができました。今後は「AIOps」の 活用なども進めていきたいと考えています
    東京大学,大学院理学系研究科,情報システムチーム,助教,下見 淳一郎 氏