学校法人国際基督教大学

セキュリティ強化にもつながる無線化を強力に推進
留学生にとって“当たり前”の快適な無線LANを整備

 自然豊かな広大な敷地を有するキャンパス内に点在する建屋を中心に、講義のなかでも活用できる無線LAN環境の整備を計画。コントローラによって集中管理できることはもちろん、モバイルWi-Fiが持ち込まれてもチャネル干渉の自動調整など快適な無線環境が容易に実現できる仕組みとしてArubaの無線LANソリューションを選択。コアスイッチからPoEスイッチ、そして無線APも含めた無線ネットワーク環境を全てArubaにて構築、快適なネットワークアクセスが可能な環境を作り上げた。

集中管理が可能な無線LAN環境の整備を計画

 1953年4月に、日本と北米のキリスト教界の指導者たちによって開学された国際基督教大学。国際的協力により設置された大学として「国際性」「キリスト教」「学問」という3つの使命を掲げている同大学では、日本語と英語のバイリンガリズムを徹底しており、約30の専修分野の学びを学生が主体的に深めながら、少人数制を堅持することで自己の可能性を磨くための教育環境を提供している。深い森に囲まれた62万平方メートルにもおよぶ広大なキャンパスには、教育棟などの施設はもとより、寮や教員住宅が点在しており、学生と教職員が教室の枠を超えて学び合う環境を用意。個を尊重しながら構成員相互の全人的な交わりを重視しており、自らの専門分野を超えて広く知識の交流をなし得る人格教育を目指したリベラルアーツ教育に注力しながら、国際理解と文化交流の進展に貢献することを目指している。

 そんな同大学では、当初は教員をターゲットに教室内でネットワーク接続できるよう、コンシューマグレードのアクセスポイントを簡易的に設置してきたが、スマートフォンが広く普及するなかで学生からのネットワーク接続要請も徐々に高まることに。そこで、食堂や会議場など新たな施設がキャンパス内に設置された2010年のタイミングに、学生も手軽に利用できる無線LAN環境の整備を行うことになったと常務理事 富岡 徹郎氏は導入の経緯について説明する。「当時新設された施設はもちろん、100近くある教室にも展開することが検討されました。広いキャンパス内でも運用しやすいよう、集中管理が可能な仕組みを検討することになったのです」。

自動調整機能やその実績を評価、海外での当たり前を実現する無線LAN

 そこで注目したのが、Arubaが提供する無線LANソリューションだった。「キャンパスが広いこともあり、センターからAPが集中管理できる仕組みが必要でした。また、チャネル干渉などがあってもうまく調整してくれる仕組みが必要だったのです」と語るのはITセンター 加藤 隆典氏だ。Arubaであればコントローラにて集中管理できるのはもちろん、Adaptive Radio Management (ARM)と呼ばれる機能が実装されたAirMatchによって、現場に応じて最適なラジオ接続とQoSを確保しながら、チャネル干渉が軽減できるよう自動調整する機能が備わっている。「特にモバイルWi-Fiなどが多く持ち込まれてしまうこともあり、最適な無線環境に自動調整してくれる機能が不可欠だったのです」と加藤氏。

以前は無線があるという環境でしたが、今は無線があって当たり前という環境が求められています。

 また、大学を含めた教育機関への導入実績が豊富だった点もArubaを選択したポイントの1つ。「使い方も似てくる他大学での導入実績があれば、我々特有の事象が発生することは少ないはず。採用実績の多いArubaであれば安心感がありますし、多くの大学で使われているということからも、大学という環境や使われ方にマッチしているとも判断できます」と加藤氏は評価する。さらに、ゲストアクセスしやすい環境づくりという使い勝手に配慮された仕組みである点もArubaを評価したポイントの1つに挙げている。なお、トラフィックの集中状況や停電後の復電状況などがリアルタイムに可視化できるよう、ネットワーク管理のソリューション「AirWave」も次年度以降に導入している。

 その後、本館の増設工事や用途の拡大をはじめ、かつて導入したAPが耐用年数の限界を迎えることになり、無線環境の再整備を計画。教室を中心に講義内でも円滑に使えるようにするべく、最新機種へのリプレースを実施することになった。「良くも悪くもArubaのAPは安定して動作し、ほとんど壊れなかったのが実態です。多少目をつぶって利用してきたのですが、いよいよ限界を迎えることに。そこで、既存環境との平行運用を前提に、新たにArubaの最新ソリューションを導入、無線環境の拡張を行ったのです」と加藤氏。

 実は海外からくる学生も多く在籍しているという同大学の特性からも、いつでもつながる無線LAN環境の整備が急務でした。「海外からやってくる留学生からすれば、海外では日常的に利用できる無線LANを日本にいても安定して利用したいと思うのは当然です。以前は単に“無線がある”という環境でしたが、今は“無線があって当たり前”という環境が求められているのです」と富岡氏は説明する。

長年運用しても壊れない堅牢性とAirWaveによる現場の可視化を高く評価

 現在は、集中管理のための冗長化されたコントローラが2台設置されており、新旧のAPが混在した状態で建屋を中心としたキャンパス内全域に展開、トータルでは230ほどのAPが設置されている。広大なキャンパスだけに、APが設置された建物近くのエリアは屋外であっても接続できる状況だが、今後学習環境として利用される芝生のエリアなどへの無線環境の拡張は検討していくという。なお、有線ネットワークとは別に無線用のネットワークを個別に整備しており、無線接続に必要なコアスイッチや各建屋に設置されているPoEスイッチまで含めて全てAruba製品が採用されている。

 学内で利用されているSSIDは、教員と職員、学生、ゲスト、そして管理用と5つほどが運用されており、多くの人がネットワークアクセスするための手段として日常的に利用する基盤となっている。例えば講義のなかでは、Google ドキュメントを使ってオンラインで情報共有しながら進めることもあれば、Skype for Businessなどで映像を共有することもあるなど、帯域の必要なアプリケーションでも快適に利用できている状況だという。「インフラとして重要なのは、安定してシームレスに接続でき、ユーザにストレスを与えないこと。Arubaの環境はとても安定しており、ユーザの立場としてとても快適に利用できています」と富岡氏は評価する。今では、無線よりもインターネット接続のためのWAN側がボトルネックになるケースも出てきているほどだ。

 また、AirWaveを導入したことで、利用状況の可視化が容易に行えるようになり、将来的な予測はもちろん、トラフィックの利用状況から注意喚起を促すといったことまで、さまざまなことが可能になっているという。「特に学生は日中教室を移動していろいろな環境で利用しており、どこがつながりにくいのか、どこを手厚くしていくべきなのかを把握することで、これまで以上に快適な環境が提供できます」と富岡氏。後から指摘を受けた場合でもログから調査できるなど、証跡を残して管理できる点も評価の1つに挙げている。他にも、堅牢なハードウェアの部分でも評価の声が寄せられている。「古い機種だと8年ほど利用していますが、ほとんど故障がなく安定して利用できています。何かあってもアラートがメールで飛んできますし、予備機交換だけで済むケースも多い。学内スタッフだけでも負担なく運用できます」と加藤氏は評価する。

 なお、Arubaの提案から設計、導入、運用まで含めて、2010年当初から株式会社ネットワークバリューコンポネンツが手掛けており、最適なAP配置や設置場所での調整など含め、現場でのノウハウを生かした実装が高く評価されている。「体育館などの設置する場合は、APに直接ボールが当たらないようガードをつけるなど、現場に合わせた最適な環境づくりにご協力いただいています」と語る加藤氏。今では無線以外にも有線ネットワークやセキュリティ部分に関しても相談するなど、学内での最適なICT活用に向けた環境整備にも協力を仰いでいるという。

クラウド環境への期待から、有線からの置き換えも視野に

 今後については、現状は講義が行われる建屋を中心にエリアを展開しているが、古いAPの入れ替えを計画的に行いながら、事務室や会議室など教職員が主に利用するエリアにも無線環境を整備していきたいという。「有線ネットワーク中心の事務室などにも無線を導入していき、老朽化しつつある有線ネットワークを無線と統合していくことで使い勝手を高めていきたい。特に物理的にケーブルを接続すればネットワークアクセスできてしまう有線よりも、アクセス時に認証によってチェックできる無線のほうがセキュリティの強化につながるはず。しかも、ユーザのふるまいを見て判断、制御する仕組みもArubaであれば可能なため、全体的には無線に寄せたネットワークづくりを今後も取り組んでいきたい」と加藤氏。

 また、今後はクラウド化への取り組みも加速させていきたい考えだ。「学内の方針としては、クラウド化が大きな潮流となっています。いずれはAruba Centralなどクラウド環境を利用した管理に移行できればと考えています」と加藤氏。ほかにも、現在は大学を中心に展開しているが、すでに高校の事務室などにはArubaの無線LANが展開されており、いずれは統合して運用していくことも検討されているという。

 なお、無線活用の幅を広げるという意味では、Beaconを利用してオープンキャンパス時に訪れたゲストに情報を提供するといった使い方から、IoT的な技術を応用してアナグマが生息するほど自然豊かな広大なキャンパス内のリソース管理などに活用するといった使い方まで、さまざまな用途へ展開できると富岡氏は期待を寄せている。